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懐かしいもの

PCのフォルダを整理していると、マビノギ内で初めて行った弾き語りの脚本が出てきました。
タイトルは「もうひとりのわたし」。
2008年6月の第20回演奏祭にて公演とありますので、もう4年以上も前なのですね。
さすがにこの作品の再演予定はもうありませんし、せっかくなので脚本だけでも公開。


Omnia vanitas.
“すべては空虚である”
人間とは脆くて儚くて不完全な存在。
けれど、普段はそのようなことを意識しません。
幸せであればあるほど、
そのようなことを考えるのは稀なだけに。
ここに一人の少女がいます。
その少女は幸せではありませんでした。
自分が不完全であることを知っているからです。

それは自分の半身ともいうべき人を失って、
思い知った事実。


ある日。少女は大切な友達の死を知りました。
引っ越して、遠く離れた場所に住んでいた友達。
けれど、沢山の手紙のやりとりをして、心が繋がっていた友達。
性格は全然違うけれど、その絆は親や姉妹よりも深い。
彼女は少女の半身。
欠けてしまったもうひとりの自分。
どうしてそう思ったのかはわかりませんが、それはいわば直感。
不思議とお互いにそう思いあえたです。
だからそんな友達の死は、
少女にとって自分の死と同じ意味にすら思えました。


空虚な日々がしばらく続きました。
無理もありません。少女は半分死んでいるようなものですから。
友達の後を追って自ら命を絶つことも考えました。
でも、できませんでした。
自分という存在が完全に消えてしまうのが怖かったからです。
けれど。このまま生きていても辛いという気持ちは消えません。
死ぬのは怖い。生きるのは辛い。
少女は思い悩みました。心を殺さないと耐え切れない程です。
得意とするヴァイオリンの演奏も、今では手につきそうにありません。
コンクールに入賞できるほどの腕を持っている少女ですが、
そんな評価も今では無意味に思えました。
いつの日か友達と再会したときに、聴かせてあげようと頑張ってきたのに、
それがもう叶わない以上は………


友達の死から半年後。
少女の元に予期せぬ郵便物が届きました。
それは友達の両親から宛てられたもので、
大きな封筒の中に分厚い何かが入っていました。
開封すると、中から出てきたのは数十枚の楽譜。
一緒に添えられた手紙には、その楽譜は友達が少女の為に作ったものだと記されています。
友達はいつの日か少女と再会したときの為にこの楽譜を渡そうと思い、
こっそり作曲の勉強をしていたというのです。
『わたしに内緒でいつのまに』
少女は無意識に苦笑しました。
自分がヴァイオリンを演奏することは、過去の手紙のやりとりで何度も伝えてきましたが、友達が作曲を勉強していたというのは初耳です。
でも、嫌な気分はしませんでした。
きっと友達は少女を驚かせたかっただけでしょうから。

少女は久しぶりにヴァイオリンを持ち出してきました。
友達が遺してくれた曲を弾くために。
演奏をはじめると、少女は自分が満たされていくのを実感しました。
優しく、温かく、そして何よりも懐かしい。
それはまぎれもなく友達の想い。
少女の演奏と
友達の楽譜。
このふたつが合わさって完成する音楽。
欠けていたものが互いを埋めあうような感覚。
『おかえり。もうひとりのわたし』
少女は涙と共にそう呟きました。


人間とは脆くて儚くて不完全な存在。
けれど、普段はそのようなことを意識しません。
幸せであればあるほど、
そのようなことを考えるのは稀なだけに。
ここに一人の少女がいます。
その少女は幸せを取り戻しました。
自分が不完全でないことを知ったからです。
何故なら自分の半身は、
これから先も少女の心の中で生き続けていくでしょうから。
ささやかな音楽と共に。
Amor, ut lacrima, ab oculo oritur, in pectus cadit.
“愛は涙のように、目から生まれて胸へと落ちる”




いやはやホント懐かしい。
この頃ってまだソロで売り出し中(笑)だったのですよね。
夢はモリアン随一の弾き語り楽士になるとか演奏会で言ってたような気がします^^;
随一かどうかは別として、劇のような大規模な手法を取らず、物語を音楽にのせて届けるという試みはそれなりに成果を出せたのではないかなと思います。
こういった活動を通じて素敵な皆さんと出会うことができたのですから。

コメント

No title

こういうプロローグとエピローグの対比は好みかも。
マビノギの演奏キャラと作曲キャラみたいですね。

No title

>aykさん
ありがとうございます^^
まさにマビノギの演奏キャラと作曲キャラというのを意識した部分がありました。

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まとめ【懐かしいもの】

PCのフォルダを整理していると、マビノギ内で初めて行った弾き語りの脚本が出てきました。タイトルは「
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